公園に行くとよく目にすることの2つ目は中学生とか高校生が1人あるいは複数人でサッカーをしているって言う光景です。この時僕がこれは問題だなと思うのはリフティングをしていたり、何かジャグリングの技のようなものを練習していて、時折りスマホを覗き込んで休憩して、また少しだけ練習して、それからまた休憩してスマホ見て、、、のようなことです。
これの何が問題だと思うかと言うと、まぁその本人たちがサッカーの試合に出たいとか、試合の中で活躍したいと言う競争心を持っていないのであれば別に構わないのですが、もし本当は試合に出て活躍したいと考えてるのであれば、公園でジャグリングに何時間もかけるということは、何一つ競技力の向上には役に立ってないと言うことなのです。
サッカーが上手い人は、リフティングやジャグリングがうまいかと言うと、ほとんどの場合真なのですが、逆が真となる確率は50%以下でしょう。これは個人的な見解に基づきますが。
サッカーが上手い人はそもそもボールに触れる総時間というのが長いので、競技力を向上させるための練習時間+ αでボールに触れています。その間にボールと戯れる過程でジャグリングが上達すると言う事は十分にあり得ます。
しかし、反対にジャグリングだけを上達したところで、サッカーの競技力が向上するとは限りません。なぜなら、ジャグリングスキルと言うのはサッカーの試合で求められるスキルの中では例外的なごく一部分なのです。サッカーの総合的な競技力と言うのは、ジャグリング以外の99.9%が占めているからです。例えば、フィジカル能力や空間認知能力やコミュニケーション能力などアスリートとしての総合力が問われるスポーツがサッカーなのです。ですから、ジャグリングだけを練習してサッカーが上手くなるということは絶対にありえないのです。
そこをミスリードしてしまいがちな、SNS上の情報やYouTubeになびかれてしまうと言うのも、中高生の発達の過程と言ってもいいかもしれません。しかし、試合に出ていれば、試合の中で感じる肌感覚で何が必要な要素なのかということは、小学生でもわかります。ここに目を向けさせることが、まずは指導者や親としては大事なことではないでしょうか。
中学生や高校生としては、一生懸命上手くなるために、何が必要かを考えた結果、スマホでいろいろな情報をとって、ジャグリングを練習すると言う結論に至ったのでしょう。逆に言うと、何を練習したら、自分が試合に出られるかを十分に突き詰められてないということでもありますが、そもそも触れている情報量や熟練者と対話する時間が足りていないため、誤った結論に至ってしまうのだろうと思われます。
ここでは1人で自主練をする場合、あるいは少人数でトレーニングする場合にどんなことに気をつけたら良いかを私なりの視点でまとめてみたいと思います。
自主練のキーポイントは、インテンシティを高めることです。インテンシティーとは強度のことです。強度とは負荷とも言い換えられます。負荷と言うのは4つに分けられて、身体的不可、技術的負荷、心理的不可、認知的不可があります。
身体的負荷はシンプルで、心拍数が上がる運動の事、あるいは筋疲労を感じる運動のことです。技術的負荷もわかりやすいでしょう。特定の目的あるいは動作を遂行するために必要なスキルの難しさの度合いです。心理的負荷とは、気持ち的に追い込まれた状態でかかる負荷で、例えば公式戦のPKキック等の緊張などが挙げられるでしょう。認知的負荷は認識することが難しく感じる度合いのことです。例を出すと味方が右に3人いて、左に敵が3人いたら認知は簡単ですが、味方と敵が入り混じってポジションしていたら、どこに誰がいるのかを認知するまでに少し時間がかかってしまいます。このような程度の差のことです。心理的負荷と認知的負荷は個人トレーニングにおいては変えにくいパラメータになると思います。
練習する時は負荷をどれだけ上げられるか、そしてその負荷をどれだけ継続できるかに焦点を当てて組み立てると良いでしょう。
例えばリフティングの練習を取り上げると、色々な工夫ができます。移動しながら行ったり、移動する距離を決めて、その区間を制限された時間内に移動すると言う設定をしたり、そのトレーニングを繰り返す際のインターバルを短くするなどして、身体的・技術的な負荷を上げた状態でトレーニングすれば十分に競技力の向上を図れます。それだけでは試合での再現性が高まるとは、自分には言えませんが、身体的負荷が上がった中で、正確にボールをコントロールする状況を作り出すことで、またそこから何かが自分の体について発見があるでしょう。
僕が強烈にお勧めするのは岡崎慎司選手が出している本です。アジリティーを高めるジャンプやダッシュ系のトレーニングが網羅されている本があります。それを読めば1人でも競技力を高めるために直結できる練習メニューをたくさん得ることができます。フィジカルコンディションを上げておく事は、チーム全員に対してで均一にデザインされたチーム練習の中で、自分だけがより質の高いアウトプットを得るために重要なことです。つまり、練習で活躍できるやつがスタメンになるし、練習で高いパフォーマンスを出したことで得られる、フィードバックの質が変わってくるということです。これを実現するには常にアジリティーやフィジカルコンディションを高めておく必要があります。それがフィジカルトレーニングがボールを使ったトレーニングよりも重要だと考える理由です。
個人トレーニングだとやれることが限られるので、その中で最大の成果を出そうとするとフィジカルトレーニングに行き着くのです。自分の体に焦点を当てられる時間は貴重ですから、ぜひともフィジカルトレーニングや、コンディショニングを勉強して、身体改造を目指してください。継続すれば必ず変わります。1ヶ月でも変化は起きると思いますし、3ヶ月やれば圧倒的に目に見える変化が必ず起きます。是非ともリフティングではなくスクワット、ジャンプ、体感トレなどに取り組んでみてください。