ドリブルの駆け引きを理解すればサッカーはより早く上達する

Messi dribble argentina

サッカーの上達には相手が必要です。ドリル練習を繰り返しても一定レベルまでは上手くなっても、それ以上の成長はありません。劇的なブレイクスルーを経験するには相手のある練習の中で駆け引きを学ぶしかありません。

駆け引きとは傾向と対策です。こうすればこうなるだろうという、一手一手の応酬を理解すべきです。つまり、すべての駆け引きはひとつのパターンから出発するのです。レベルが上がればパターンが積み上がっていきどんどん複雑になっていきます。複雑な判断を一瞬で行うのが直感です。直感によって駆け引きの中で正しい唯一手を選択できるようになれば、そのレベルではトップを取れるでしょう。

ドリブルはサッカーにおいてシュートの次に重要な技術です。ボールを個人で扱う技術をドリブルとするならば、パスもトラップもドリブルの上に成り立っていると言えます。ここではドリブルを根本的に理解するためのキーワードである懐について、その基本的な考え方を紹介することで解説してみましょう。

まずは下の動画を見てみてください。友達を実験台にして実演しました。

ここでは4つの段階に分けて駆け引きの応酬を解説しています。

  1. スピードだけで勝負する


スピードだけで勝負する場合、相手より身体能力が高いことが大前提です。なおかつ2人目のカバーリングが拙ければ、スピードだけで突破口が見いだせるでしょう。しかし、現実には足だけ速くてもすぐに対策されてドリブル突破は難しくなります。ですから、多くの選手が競争力の高いステージに上った時に、壁にぶつかるのです。ここで諦めずに創意工夫をこらした選手だけが次のステージに進めます。ここではそのヒントを提供しましょう。

  2. 懐を使う(クスドリ)


以前の動画にも紹介したとおり、スクリーン(スラローム)からの突破にはクスドリが向いています。ボールを隠した瞬間に低い姿勢から爆発的な加速ができるからです。DFとOFの意識のズレを利用した効果的な突破法です。タッチライン際だけじゃなく、ピッチ中央やカットイン時にも使えるので大変便利です。是非マスターしてください。

  3. 内側に切れ込む(クライフターン)


クスドリでの縦突破を何度も見せると、相手も対策を練ってきます。その対策は簡単です。DFは縦を切ればいいだけです。そこで、今度は同じ姿勢からカットインを試みましょう。相手の体と入れ違うように内側へ滑り込めば、それほどの鋭さがなくてもするりとかわせます。スピードがある中でやるのは結構難しいですが、マスターすればほぼ無敵です。なぜなら、DFは原理的にクスドリとクライフターンの見合いを止めることは不可能だからです。どちらか一方を止めようと思えば、もう一方を空けてしまう、これを「見合い」といいます。

  4. 間を作る


そこでDFは次の手に出ます。懐姿勢を作られたらDFに勝ち目はないわけですから、ここでDFが取るべき手はひとつ、「離れること」です。

OFが軸足を一歩前へ出せば、DFは次の手を止めることは出来ないので、抜かれないためには距離を取るしかありません。下がって縦も中もカバーできるポジションを取れば、当面の心配からは免れます。

つまり、OFは軸足の踏み込みと懐姿勢の形成によって、間を作ることに成功します。「間」とはDFがボールホルダーに飛び込めない状態を言い、「間合い」とも呼ばれます。DFがボールホルダーの近くにいるのに飛び込めないのは、OFが懐を使って見合いを仕掛け、食いつけば絶対に抜ける姿勢でボールを持っているからです。

結果的にDFはボールホルダーに近づけませんが、ゴールへは近づけさせません。OFは間を利用して擬似的にフリーな状態からパスやシュートを狙います。このパスやシュートの成否は周囲の選手たちの関係性によって決まります。ここから先は1対1を超えた範囲なので別項にまとめます。

  x. スクランブルで抜く


最後に、これは理論ではなくどちらかというとオカルトに近いですが、ドリブルのうまい人はスクランブルで抜いて行けます。相手の足にひっかかったルーズボールを突いて前へ運んだり、相手ともつれて倒れそうになりながら突破したり、腑に落ちない抜き方で突破するシーンをよく目にします。これも懐が関係ある、、、、、と言いたいところですが、納得行く説明ができないので、次の課題としましょう。

  方法論と実力は比例しない


最終的に非常に厳しい結論ですが、ドリブルの成否は才能によって決まります。ドリブラーになれるかどうかは、懐を使いこなせることより、スポーツビジョンとステップワークの優劣で決まります。

懐を極めていくと行き着くのは、相手の体重移動を瞬時に見抜くスポーツビジョンと、相手より素早くステップを踏み変える足捌きです。優れたドリブラーが「見えている世界が違う」と思わせるようなパフォーマンスを発揮するのも、スローリプレイじゃないとどうなったかわからないボールタッチを見せるのもすべてこの2つの才能に拠るところが大きいのです。

だからといって懐という考え方が無駄なのではなく、懐は個人個人が上達するためステップになりうるのです。あなたが明日いきなりメッシになるのは不可能です。しかし、昨日のあなたより上達することは十分に可能です。サッカーは相対的なスポーツですから、相手のレベルが高ければいくら正しい動作を行ってもミスをすることはあります。でも、もしその時に懐を知っていたとしたら、もしかしたらもっとよい結果を得られたかもしれない、そう信じることから上達は始まるのです。

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