ポジショナルプレーにおいて崩しの質を高めることが重要な事は前回書きました。崩しの形は様々ありますが、まずは2人の関係で質を高めることが非常に重要です。出し手と受け手だけで崩せるタイミングを掴めなければ、3人目の絡みの威力が半減するからです。
ここでは出し手がドリブルしている時に最終ラインを崩す方法を紹介します。
ドリブルアット(dribble-at)というプレーです。では動画をどうぞ。
説明しましょう。
2対2というシンプルな状況からスタートすると考えます。
ボールホルダーはドリブルで仕掛けて対峙するDFを抜き去るのがベストです。なのでサポートの選手は離れる動きで、DF2がカバーリングに行けないように良いスペーシングを取ります。しかし、そう簡単にドリブルで抜けるわけではないので次の手を考えます。
プルアウェイ(ボールから離れるサポート)に対してDF2は同一視野を保つようにトレーニングされています。単純なプルアウェイで最終ラインを崩すのは難しいです。黒い矢印で示すパスが仮に通っても、サイドからの1対1が始まるだけで、状況はそれほど好転しません。
そこでボールホルダーはDF2に向かってドリブルの方向を変えます。これがドリブルアットです。dribble-atのatは「その地点をピンポイントで指し示す」という意味です。”ドリブルの方向をピンポイントでカバーリングのDFに向ける”という意味に捉えられます。ちなみにこれはバスケ用語で、前述の原田さんのメルマガで知りました。
DF2にとってドリブルが自分に向かってくると、一瞬ですがマークを見失います。自分がカバーリングに行かなくては?と躊躇する気持ちが生まれボールウォッチャーになってしまいます。また、横へのドリブルは横パスを連想させます。「マークを見失ってるけどどうせ横パスで逃げてくるんだから大丈夫だろう」という心の隙を生んでしまいます。
DFに向かうドリブルは正対も連想させます。DF2にとってはスラロームから正対に変化することで一瞬ピン留めさせられてしまいます。ですからドリブルアットはDF2とかなり距離がある状況でも有効です。20mくらい離れていてもDF2をピン留めすることが出来ます。
このドリブルアットのとき(ドリブルの角度が変わった瞬間)にバックドアを仕掛ければ、DFの目を盗んで裏のスペースに飛び出すことが出来ます。
バックドアプレーの完成です。
ドリブルアットのときの角度は厳密にカバーリングの選手を狙う必要はありません。動画のインシーニェのように蹴りやすい位置に持ち直すやり方でも十分に効果があります。本質的にはいかにDF2の選手を”殺すか”(ボールウォッチャーにさせるか)ですから、練習でDF役に人に意見を聞いて、どの方向に持ち出せばボールウォッチャーにさせることが出来るか研究してみて下さい。
このプレーは左利きの選手がよく使う傾向があります。アジアカップ韓国戦の本田選手から長友選手へのパスもドリブルアットからでしたね。
美しい崩しです。
2人での崩しは「バックドア」「ドリブルアット」「グティパス」と基本はこの3つです。これらから様々の応用を加えていろんなタイミングで出し手受け手のタイミングを合わせていく練習をして下さい。そしてひととおり2人での崩しが完成したら3人目の動き(囮)を含めた崩しを練習してみて下さい。では今日はこのへんで。
はじめまして。記事の感想ではございませんが、投稿させていただきます。
こちらのサイトを参考にさせていただき、息子が某J下部Jr.ユースに合格することができましたので、お礼申し上げます。