そのタッチ本当に必要ですか?

日本代表が敵地でドイツに4-1と完勝しました。欧州南米は格上、勝つには堅守カウンターでジャイキリ目指すしかないというイメージが染み付いていた自分には隔世の感がありますね。フレンドリーらしい立ち上がりの緩いドイツディフェン

リケルメ全プレー解説10

今回はこのプレー! かなり画質は悪いですが、ボカ時代のプレーですね。左サイドを縦突破してからカットインからのアーリークロスでアシストです。ここでのポイントは2つあります。「壁ドリブル」と「スキップパス」です。「壁ドリブル

リケルメ全プレー解説9

今回はこのプレー。 4人のDFを転ばせながら誰ひとりとしてボールに触らせないという神のようなプレーに隠れている技術を取り出してみましょう。 まず、懐トラップから始まります。前の部分がわからないので、推測に成りますがおそら

リケルメ全プレー解説8

久しぶりですがリケルメ解説続きをやります。 今回はこのプレー。どん!! バイタルで受けてからワン・ツーしてゴールを決めるシーンです。ボカ時代のプレーですね。では、静止画で説明していきます。 白矢印からパスを受けると、赤矢

リケルメ全プレー解説7

リケルメのプレーって見ていて飽きないですね。ボールを守る技術、ball-retentionスキルが半端なく高いです。ボールを相手から守るために体のいろんな部位を使っているからなし得ることが出来ます。しかも、相手の動きをよ

リケルメ全プレー解説6

アントラーズの勇姿に励まされ、小学生の上達速度に驚かされ、高校生の成熟度に日本の明るい未来を感じた今年の年越しでした。確実に言えるのは、日本代表が勝てなくてもJがアジアで勝てなくても、日本の何処かで日日の努力を続けている

リケルメ全プレー解説5

今日はこんなプレーです。 真の技術で相手をなめる、いかにもリケルメらしいプレーですね。ここで使われている技術を解説します。 まずは懐トラップ。軸足側に転がします。 軸足でボールを隠しているので安心して相手を観ます。 正し

リケルメ全プレー解説4

久しぶりにテレビでJリーグを見たら、もっと上手なプレーを見たいなぁと単純に思ったので、上手いプレーとはどういうプレーなのか具体例を上げて解説したいと思います。 今回もお題はリケルメです。 では参考プレーをどうぞ。 やはり

リケルメ全プレー解説3 

”Z世代”という言葉をご存知ですか? 日本では1980〜1990年代生まれをゆとり世代と称して、マナーや根性がなってない世代感を嘲笑する空気がありますが、アメリカではこの世代を”ミレニアル世代”といって次世代を担う期待の

リケルメ全プレー解説2

こんばんは。リケルメ解説続きます。マタドールターンとか言って昔紹介した中盤選手用の旋回するドリブルがありますが、あれもただ回ればいいってもんじゃないってことをリケルメは見せてくれてます。そして最後に出て来た魔法の足、今回

リケルメ全プレー解説1

リケルメのプレーを見ていたら本当に凄い技術ばかりを使っていたので解説します。日本の育成に確実に役に立つなと思いました。 というかミレニアル世代までは当然知っているとして、Z世代はファン・ロマン・リケルメを知らないって人多

「懐」ってなんだろう

サッカーはボールを足で扱うスポーツだ、という観点から言うと、最も重要な技術はシュートであり、次にドリブルということになります。実際はディフェンスやパスの練習に多くの時間が割かれるのですが、本質的にはドリブルとシュートが大

ドリブルの駆け引きを理解すればサッカーはより早く上達する

サッカーの上達には相手が必要です。ドリル練習を繰り返しても一定レベルまでは上手くなっても、それ以上の成長はありません。劇的なブレイクスルーを経験するには相手のある練習の中で駆け引きを学ぶしかありません。 駆け引きとは傾向

懐ドリブル 四変化 正対編

・ドリブルが上手くなりたい ・サッカーの本をたくさん読んだが、どれが役に立つテクニックなのかわからない ・メッシのドリブルはフェイントを使っていないのになんで抜けるの? ・イニエスタはどうしてボールを取られないのか知りた

懐ドリブル四変化 スラローム編

中学生まではスピードだけで抜いていけたのに、高校に入ったらドリブルが通用しない。 中盤でボールを受けるとすぐにプレッシャーが来てボールを失ってしまう サイドでドリブルをしたいのに取られるからすぐにパスを出せと言われる 敵

全少決勝MOMの少年に学ぶ懐

セレッソ大阪U-12のみなさん、全少優勝おめでとうございます。そして今週からはじまるジュニアサッカーワールドチャレンジ頑張ってください。是非ミランをボコボコにのしてやってください。そこで今回全少MVPの少年から懐について

サーニャの懐・解説

サイドバックやサイドハーフが順足サイド(右利きなら右サイド)でドリブル突破を決めるには、クスドリを使うと良いです。例として以前上げた、サーニャのシーンを解説してみましょう。 体を半身前に出して、トンネルを作るイメージで相

イニエスタの懐が深いドリブルの解説をします

イニエスタのドリブルは懐が深い、イニエスタの懐2、イニエスタの懐失敗編において懐の深いドリブルの紹介しましたが、解説がまだだったので解説動画を作ってみました。風邪で鼻声気味です(泣) Pocket

懐を使ったドリブルの緩急

サッカーでスピードは大事な要素ですが、もっと大事なのが、テクニックや駆け引きといった技術的要素です。技術があれば身体能力差を無効化できます。体が小さくても足が遅くとも技術があれば活躍できます。では、その技術とはなにか。そ

人形劇1 クスドリの紹介

ツイッターで懐の深いドリブルについてつぶやいたら質問がいっぱい来たので回答します。特に僕がクスドリと名づけたドリブル技について質問が多かったのでそれについて集中的に回答しました。見苦しいですが、早いレスポンスで皆さんの期

ベストセラー『アナリシス・アイ』を読む!!

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遅ればせながら、らいかーるとさんの著書「アナリシス・アイ」を読んだので読書感想文を書かせていただこうと思います。この本はブログサッカーの面白い戦術分析を心がけますの運営者のらいかーるとさんによって書かれた、サッカーの試合分析方法をまとめた本です。

まず、この素晴らしい本を世に出してくださったことを、著者であるらいかーるとさんはじめ、出版に関わった関係者の皆様に感謝したいと思います。読んでとても勇気づけられた作品でした。

そして、より多くのサッカーに関わる方やサッカーを楽しむ方に読んでいただきたいと思い、微力ながらそのお手伝いをできればなと思います。

この本の素晴らしい点を順にお伝えしたいと思います。

  1 構成が素晴らしい

優れた本は構成が素晴らしい。このことはどんな分野の本にでも言えると思います。この本の構成も例外なく素晴らしく、非常にコンパクトにわかりやすくまとまっています。サッカーの分析に必要な視点を漏れなく無駄なく順序よく網羅しています。

第1章でサッカーにおいて最初に考えるべき要素(時間・スペース・配置・選手)について整理しています。これらはサッカーを思考する上で根っこにあたる部分で、世界中の優れた分析官に聞いても、ほとんど同じ答えが返ってくるはずです。ベーシックな部分というのは、抽象度が高く、整理するのが難しかったりするのですが、それを平易な言葉で説明してくれています。これにより、読者はサッカーのゲーム特性をすっきりと理解できるようになるでしょう。

第2章では試合の分析方法について具体的に触れています。これは木の幹にあたる部分です。配置図、いわゆるシステムとかフォーメーションを見る際に、キックオフ時やゴールキック時に注目しましょう、ということはよく言われることですが、ここではさらに先をゆく考え方に触れることができます。

例えば、試合の立ち上がりだけではそのチームの本来の配置が見られないことがあるという例や、配置ばかりに注目するのではなく、試合の局面を評価しましょうといったことです。このあたりは、著者の指導者としての経験が色濃く反映された視点のように思われ、本著にオリジナリティを加えています。

試合の流れをより深く見極める方法として選手の移動(ポジションチェンジ)や局面の変化(試合経過)への言及が続きます。試合の流れを見落とさないために、時間軸に沿ってどのような視点で分析を進めればよいかがシンプルにまとまっており、本著の中でも優れた章のうちのひとつです。

最後に枝葉にあたる部分です。第3〜5章ではピッチを3つのエリアに分けて、それぞれのエリアでの原則をまとめています。特に第3章のビルドアップに関しては、ポジションの取り方やロングボールの使い方についてとても整理されていて、読んでいて背中を押されたような気分になりました。「そうだ、この考え方でいいんだ」と。

プレーヤーや指導者の方の中にはときとして、周りの人たちの意見を取り入れるうちに、自分の中の戦術的な軸がぶれてしまうことがあると思います。これらの章で整理された力強い言葉たちは、自分の軸を取り戻すのに一役買ってくれること請け合いです。

  2実例集がついている

第6章では代表戦の2試合を取り出して、これまでの分析方法からなにがわかるかということを実践してくれています。いわば演習問題が付録しているような感じです。ですから、本著をもとに分析体験ができるようになっているのです。読者には嬉しい構成です。

  3 対象読者層が広い

この本は読む人を選びません。どんな人にとっても読みたいときに読んで、かならず何かしらのエッセンスを受け取れるように書かれています。サッカー初心者にとって嬉しいのはわかりやすく平易な言葉で書かれていることです。難しい戦術用語をいったん日本語に置き換えて説明してくれているので、子供が聞いてもイメージしやすくなっています。

もちろん経験者でも読む価値がある内容になっています。言葉の一つ一つが読者の経験と結びついてスッと腑に落ちるように書かれていて、その読書体験から勇気をもらうことができます。「そうだ、あのとき感じたことはこういうことだったんだ。だからこの方向でいいんだ」本著全体が非常に整然としているのです。それが読者を励ます波動となって優しくたゆたっています。

  4 ピッチ上の肌感覚に触れることができる

読み進めると端々にピッチ上の生の声を聞くことができます。実際の試合では戦術ボードをいじるだけでは想定できないことが頻繁に起こります。例えば、『ボールを持てることと、試合の結果は必ずしも直結しません(p.105)』などです。選手や指導者をやっている方からすると「あるある」と思わずうなずいてしまう事象です。

p.127では読者にDFの視野を想像するように促しながら、縦パスによってDFの体の向きを動かす重要性を説いています。俯瞰した視点から語るだけでなく、このようにピッチの上で個々の選手に何が起こっているかをわかりやすく説明するのは、簡単そうに思えてとても難しいことです。試合を見るだけでは得られない知見が散りばめられていることが、本著の価値をさらに高めています。

  5 新発見

ここでは紹介しきれないですが、新発見がたくさんあり、僕はたくさんの赤線を引きました。局面の変化、ロングボールの使い方と探り方、局面の繰り返しと噛み合わせ、守備の基準点(やっと意味がわかりました汗)、複数の基準点に対する移動とそれへの認知、局面への慣れ、大外のクロスなどなど。確実にサッカーIQが高まりました。

  6 エッセンス

一方で、誰もが試行錯誤したあとにたどり着くであろう結論のようなものがさらっと書いてあることも本著の魅力です。例えば、ビルドアップの段階でMFがポジションを落とすなどの『移動は労力を使うので、ゾーン1ではあまりしないほうが得策です(p.108)』などです。あくまで一つの考え方ではありますが、移動を前提としたビルドアップはボールロスト時に大変なリスクを負うのが定説です。しかし、実際に自分でサッカーをするとプロに憧れて『サリー(ボランチ落としのビルドアップ)』を真似したくなります。でも、やってみると失敗ばかり。僕は4〜5年の失敗を経てようやく同じ結論に達することができました。

著者が戦術的な試行錯誤を代替体験してくれているので、本著を読むだけで数年分の時間を節約できることもあるでしょう。

  まとめ

結局のところサッカーは人間がするスポーツです。選手たちは『将棋の駒ではなく、感情があり個体差がある(p.46)』のですから、きちんとモチベートされなければ能力を発揮できませんし、疲弊すれば集中力は低下します。また、試合の状況に慣れてしまえば疲労の度合いは軽減し、変化に晒されれば対応のために消耗します(この事実の言語化は素晴らしい!!)。

ゆえにピッチで何が起きているかを観察することが重要であり、適切な戦術的な行動を起こせるかどうかは日々の練習にかかっているのです。これが、戦術論とピッチ上のリアルの絶妙なバランスの上にいるらいかーるとさんが僕たちに送る、一本の芯の通ったメッセージなのだと思います。

試合分析というテーマは本来アカデミックなものなので、普通にやるとどうしてもとっつきにくくなってしまいます。だからといって指導経験がない人が書くと深掘りできず盤面上の話に終始しがちです。著者のらいかーるとさんには指導者であり、ヘヴィな観戦者であり、ライターであるという稀有なバックグラウンドがあります。この絶妙な三重奏の上に本著が成り立っていることが、わかりやすさを保証してくれているのだと思います。

最後まで読み通して、著者の日本サッカーへの思いを感じ取ることができました。読者である僕たち一人ひとりに何を見させようとしているか。この本は間違いなく僕たちの認知力を上げてくれる良著です。

アマゾンのコメントは著者にとって非常に嬉しいので、読み終わった方は是非アマゾンのページにてレビューを書いてみてはいかがでしょうか?

らいかーるとさんにいただいた自著のレビューも読んでいただけると嬉しいです。

 

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