武学籠球の慎さんがよく言われることに、「身体に訊く」という言葉があって、最近僕も考えすぎることの弊害を感じるので少しそれについて書いてみます。
そもそも僕はよく考えるタイプで、考え抜かないと行動できない慎重な性格です。例えばプレー動作についてよく考えているので、友達にそれを説明すると「俺はそこまで考えてないよ」と言われることがよくあります。
他には人間関係のことなど、答えの出ない問題についてくよくよ考えてしまう癖があり、これについては「考えすぎだよ」といつもアドバイスされていました。
当時若かった僕は「考え抜くことで答えが出る、自分で答えを出すことが自分を成長させる」と固く信じていたので、考えることを途中で止めることはしませんでした。
考えることを途中で止めることを「思考停止」といって卑下する気持ちすらありました。
最近思うのは、考えることはかなりのエネルギーを要し、頭と身体に相当の負担がかかるということです。
まず、行動するまで時間がかかるので、他にやるべきことに時間が割けなくなります。あとは単純に色々な外の考えに惑わされて自分に最適な決断ができなくなったり、単純に疲れます。
これはサッカーでも同じです。
1つのプレー、1つの動作を取ったとき、そのプレーを構成する要素を1つ1つ考えて繋ぎ合わせていたら、全体を実行するのにかなり時間がかかってしまいます。動作の直前に思考が介入し、そこに迷いが生じ、プレーが失敗します。
ではどうすれば良いかというと、身体に任せるのです。自然に身体が動くままにプレーすれば良いです。無意識を信頼するとも言えます。
良いプレーはほとんど無意識下で行われます。みなさんも上手くいったプレーを思い出そうとしても、あまり覚えてないことがよくあるのではないでしょうか?上手い選手ほど自分のプレーを覚えてないというのが僕の持論です。
なぜそうなるかというと、思考にするというのは言葉で考えるということですが、言葉をイメージすることはとても脳のエネルギーを使います。言葉を介さずに行動することができるとエネルギーをそこに集約できます。
例えばアート、音楽、ダンスなどの表現者は言葉を生み出す前に、頭に浮かんだイメージを身体を使って表現をしますね。これはつまり身体で考えているということです。あるいは、身体のセンサー(感覚器官)にエネルギーを集中させているということです。だからアーティストなのですね。
みながそうなれるかというと難しいです。試しに瞑想をしてみてください。瞑想のうちヴィパッサナー瞑想という方法は頭に浮かぶ言葉を消しながら、身体の感覚に耳を傾ける瞑想です。これはかなりアート表現者に近い感覚を得られるんじゃないかと個人的には思います。
僕はちなみに2〜3分も我慢できずに思考が再開してしまい、言葉の海に溺れて、10分もやると眠たくなってしまいます。修行が足らんですね。
ということで、考えすぎてると感じたら言葉で思考するのをやめて、身体にエネルギーを集中させるイメージで、無意識の力を信じて自然に任せるのも良いと思います。
このような理由からアスリートは言語化能力の成長を止めることで、身体表現能力を極限まで高めた、極めて特殊な人種であると捉えています。
トップ選手のインタビューが面白みに欠けると思ったことはありませんか?戦術オタクの僕らからすると聞きたいのは、駆け引きとか技術戦術に関する部分です。しかし、アスリートはそこまで言語化してプレーしてないので、当たり障りのない受け答えになってしまいます。
メッシなんて「どうしたらあなたのようにドリブルができるようになりますか」という質問に「わからないよ。ただ思うようにプレーしてるだけさ」なんて無邪気な受け答えをしてましたからね。
じゃあ考えないほうがいいのかというと、そういうことでもありません。良い選手になるために考えるべきことは
1 食事睡眠身体調整(ストレッチ体操など)
2 人間関係
3 戦術 練習の意図 ポジショニング
4技術は身体に訊く
こんな感じでしょうか。
身体に訊くとは武学籠球の慎さんのメルマガで教えてくれますが、身体の反応を見ていくということになります。
プレー中ではやりやすさや動きやすさに焦点を当てて、身体の動きを研ぎ澄ませていくと良いでしょう。
戦術を考えるときも、ここに味方がいたらな、こういう風に動いてくれればなとプレー中にふと感じたことを、あとで上手く取り出してそこから思考を深めていくと本質に繋がります。初めから「5レーン理論があるから、、、」などと外の論理を持ち込もうとするとなかなか上手くいかないのではないでしょうか。
ということで考えすぎるのは良くない、考えすぎてると感じたら身体のセンサーに耳を傾けて、身体に考えさせようが今回の結論です。これも立派な考える方法です。
よく言語化は無駄だって言われてますが、考えながら動くのを繰り返すことでやがて無意識化されるので決して無駄ではないし成長の阻害もしないと思います。ただ無意識化までの道のりは長いものでしょうが。
武道にも理論があるけど、考えると負ける
アメフトのQBはクロックが止まってる間は考えまくるけど、プレーをスタートさせたら反射的にプレーする
10秒単位で脳の使い方をはっきり切り替える
サッカーはQBよりも曖昧に脳みそを使って、自分中心にゲームの段階を捉えて切り替えてる感じ