今回は胸トラップのコツです。
僕の世代では胸トラップといえば中田英寿と言うことで、小中時代は腰そらし胸トラップを練習してました。胸が天を仰ぐほど腰を反ってましたね。
高校になるとこれが通用しなくなります。横や背中から当たられてバランスとコントロールを乱してしまったり、単純に前に大きく弾いてしまい敵に回り込まれて奪われることが多くなったのです。
それからというもの、胸トラップ恐怖症のようなものにかかり、相手のクリアボールをドフリーで止めるのにも失敗して奪われるようになってしまいました。
どうにかしないとと思い、胸トラップの上手い選手をよく観察してみることにしました。
胸トラが上手いといえばロナウジーニョですが、彼はボールが胸に吸い付くような神業で真似しようにも真似できません。
次に思い描いたのはフッキです。彼は発達した大胸筋のクッションで止めている感じがして、あそこまで筋トレするのは無理かなと思いました。
そして辿り着いたのはエジル。彼はそこまで大きく動かないのにストンと足元に落ちる胸トラップが出来ますよね。しかもクッションで吸収するというより少し上に弾く感じで次にプレーしやすい止め方をしています。
今回はエジルの胸トラップのやり方を紹介します。
普通は胸トラップというと両手を広げて横からのプレッシャーを牽制しながら、腰を反って膝のクッションで止めるように教わります。
それだと前述のように前に大きく弾いてしまい、次にボールに触れる間に敵に寄せられる隙を作ってしまいます。
エジルはどうするかというと、腕を横ではなく下に振ります。肘を脇腹のそばを通過するように後方に振って、肩甲骨を寄せて胸を反ります。腰ではなく背骨を反るイメージです。そして、鎖骨のすぐ下の大胸筋が盛り上がって上を向いているあたりにボールを当てて、ボールを上に弾きます。
腕を上げると肩甲骨の可動域が狭くなる気がするので、下に振ったほうがいいです。腕を横に広げろという従来の指導とは異なりますが、多くのトッププレーヤーがそうしています。
息を吐きながら行うとよりクッション性が上がります。
こうするとボールは前ではなく上に弾かれるので自分の近くにボールを落とすことができます。
これは空中戦の駆け引きのキーファクターであるシリンダーを活用すると容易に理解できます。詳しくは拙著「サッカー ドリブル 懐理論」Kindle版(1250円)に説明してあります。
簡単に言うとボールを弾くなら横ではなく上にしたほうが相手から取られにくいということです。時には相手のいないスペースに流して進むほうが良い場面もありますが。
このやり方だと、腰を反ってしまうとボールが真上どころか後ろに落ちてしまうので注意が必要です。初めてやるとあまりにも顔の近くにボールが止まるので驚くことになります。
まとめると胸トラップのコツはボールが胸に当たる瞬間に
1息を吐きながら
2腕を下に振り
3肩甲骨を寄せて
4背骨を反り
5鎖骨の下にボールを当てて
6上に弾く
とよいと思います。
なぜ肩甲骨を寄せると胸トラップが上手くいくかは、今のところうまく説明できませんが、やってみれば効果はわかると思います。
是非試してみてください。