賢者バスケの原田さんのスペーシング理論の中で、「渦の理論」というのが登場します。
これのサッカー版を考えたので公開します。
渦の理論は、ボールホルダーがドリブルをしたときに、オフボールの選手(あえてオフボールと言っています。サッカー用語ではオフ”ザ”ボールですが、英語的にザを抜いたほうが気持ちいいので)がどうやってサポートするべきかを端的に表しています。
ボールホルダーが斜め右前方にドリブルしたとします。
その時、右隣りにいる選手は離れる動きでサポートします。
離れてボールホルダーにパスコースを提供します。止まっていると邪魔になります。ドリブルに対してただ傍観して追い越されるのを黙ってみているだけではサポートとは言えません。またサッカーではバスケのようにスクリーンプレー(ボール保持者のマーカーをオフボールの選手がブロックする行為)が有効ではないので、離れる動きが最善です。近くで止まっていると邪魔なだけです。
離れてパスコースを提供することで、ボールホルダーにパスと切り返しドリブルの選択肢を与えることができます。
ドリブルの向かう先にいる、少し離れたところにいる選手は、高い位置を取ります。これによりドリブルする選手にスペースを与えます。
ボールホルダーの右斜め前でDFラインに近い位置にいる選手はバックドアカットを図ります。ドリブルを突いた瞬間にバックドアカットをするプレーを「ドリブルアット」といいます。
DFが簡単にボールウォッチャーになり、非常に裏を取りやすい形です。
トップにいる選手は「反航」という動きで楔のパスコースを作ります。航の字が間違ってますが。。詳しくはこちら。
掘り起こすとなかなかに深い考察が出てくる蹴球計画。2018年の今でもなお侮れませんね。
次は渦の理論のなかでは特例の動き「グティパス」。ドリブル方向に対して逆方向45度にいる選手はしれっと裏取りしましょう。ここはハーフスペースなので、相手の気もかなーり緩んでいます。
「もうパス絶対出てこないだろ。」という死んだふりから、キックのタイミングで一気に裏取りするときれいに通ります。パサーはノールック絶対。
最後に「ループ」これもバスケ用語。ようは回り込みです。
ボールホルダーがドリブルしたあと、出すところがなくてターンしたときに備える動きです。ドリブル方向とは逆サイドの選手は、ボールホルダーとの距離を保つため、ドリブルに対して回り込む動きでサポートします。
以上がサッカー版、渦の理論=ドリブルスペーシングです。
この動きはシステムの縁にいる選手だけではなく、システムの中核にいる選手にも適用できます。小さな渦を同軸に重ねるとわかりやすいでしょう。
大雑把に言って、ドリブルに対するサポートの動きはこの原則からそれほどかけ離れないはずです。なぜなら、ドリブルに対するDFの動きの原則を逆手に取ったのがこの「渦の理論」だからです。みなさんでいろいろ試してみてください。