日本がワールドカップで惨敗して早2月になろうとしていますが、世の中はどんどん回っています。各種大会も夏休みに入ってから大詰めを迎え、また全国出場ではないチームも各々合宿などを通して一回り大きく成長していることでしょう。
そこで今回は今月頭に行われた全日本少年サッカー大会を通じて、今現時点で日本サッカーが達成していることと、求められていることを整理してみたいと思います。
まず、ワールドカップ2014で日本が突きつけられた課題、それがパスの判断力とゲームコントロール力です。これに関して言えば、世界レベルの強固な守備に直面した時に、日本は脆さを露呈することがわかりました。ですから、これから日本がパスサッカーで世界を席巻するには常日頃から世界レベルの守備を目の当たりにする環境が必要であり、その守備をパスという論理力でねじ伏せる力が必要になります。脆弱な守備をパスで崩せてもなんの価値もないのです。
だからまずは、日本全体が守備のベースアップを図ることが大事です。急がばまわれですが、これが本筋です。攻撃のパワーアップにはまず守備から。
守備を語る際、大きく2つに分けられると思います。組織的守備と守備の個人技。組織的守備に関してはジュニアやジュニアユース年代から徐々に根付いてきている部分があります。それは各年代大会を通じてよく分かるようになってきました。グループ戦術の徹底は海外モノの輸入と共感能力に優れた日本人には得意な分野です。そこで守備の個人技はどうでしょう。
先日、代表監督に就任が決まったメキシコ人のアギーレ氏は、日本に今必要なことは結果を出すための守備的な戦い方と、個々人のたくましさやしたたかさだと言っています。僕もこれは同意見で、まずは守備的な戦い方の文化の醸成と、育成年代からずる賢さや激しさを求めていくことが重要だと考えています。
それを鑑みた時に現在のU-12世代の戦い方はどうなっているのか、動画をまとめてみましたので御覧ください。
注目したのは守備時の激しさです。激しい守備とは単に体を当てに行くだけでなく、体を利用してボールを奪うテクニックを身につけているかという観点で評価します。例えば、動画の初めの「股下をくぐるタックル」では相手FWの背中にDFの腰を当てていくように守備をしますので激しい球際になりますが、本来の目的はボールにアタックすることです。ボールにプレーする過程でフィジカルなコンタクトが起きるのはサッカーでは自然なことです。こういう習慣をつけていかないとカテゴリーを登っていく過程で弱さや無垢さが露呈します。勝つためには汚くあれとはいいませんが、たくましくしたたかであれ、というのがこれからの日本サッカー界のモットーと言えそうです。
こういった激しい攻防のためのテクニックにもっと焦点を当てていくべきだと、個人的に考えています。守備もひとつのテクニックだと思えば、日本人なら習得したいと思いますし、誰にでもできることだと周知することで全体のレベルアップが期待できます。
また、ここで紹介した「激しい守備」に対抗する攻撃側の解決法も考えてみなくてはなりません。「激しい守備」が日常化・全国化すればそれをかいくぐる「一枚上手の攻撃」を身につけたアタッカーも増えていきます。この相乗効果により、世界レベルで活躍できるDFやアタッカーが育っていくのです。まずは、世界レベル守備を身につけることから始めましょう。そのために世界レベルの守備の技術を集めましょう。
一枚上手の攻撃の手段とは具体的に言うと「懐」になるんですけど、全少では懐を使いこなす選手は残念ながらほとんどいませんでした。決勝MOMの吉田選手はかなり使えてましたけどね。
手押しやすねコンは当たり前のものになってきているようです。
サイドチェンジからの攻撃が有効性をもつのが8人制の特徴です。特に3-2-2や4−2−1を敷くチームはサイドの高い位置が空きやすくなるため、そこからのミドルシュートが有効です。8人制のピッチサイズの場合、ペナ外からのシュートもかなりの確率で入るようです。もちろんGKの技能が低いことも一因ですが、しっかり蹴れる子が増えてきているのもその要因のようです。また、ロブボールへのDFの反応が甘かったり、スライド対応が遅かったりすることで、サイドチェンジがさらに効いてきます。特に2回以上のサイドチェンジで守備網をガタガタに崩すことが出来るのがこの世代の特徴です。高いパス&コントロール精度がチーム全員に要求され、これが一番難しいことなのは言うまでもありませんが。
最後に気になったのはロングボールの使い方です。
蹴る割にヘディングのポジション取りが適当すぎる。背中押しでもう少し粘りたい→http://t.co/yYBArtG8TI http://t.co/PDzKYWyUlN
— footballhack.jp (@silkyskill) 2014, 8月 15
小学生にヘディングは大脳への負担が大きいのでオススメしない。だからヘディングフォームの習得にはゴムボールを使おう。そしてヘディングをせずに空中戦を戦うスキルを身につけよう。背中押しでポジションを争うスキルは今後間違いなく役に立つから。http://t.co/yYBArtG8TI
— footballhack.jp (@silkyskill) 2014, 8月 15
下げて蹴るならもうちょっとキープのためにFWは粘らないと。DFに楽にヘディングさせちゃだめでしょう。ここは日本の弱さでもあります、空中戦。日本人選手の空中戦の弱さは単に身体的特徴が原因ではないんです。空中戦における指導がしっかりなされていないことが直接の原因だと考えています。だから突然変異みたいに身体とジャンプ力に長けた代表選手は、Jリーグでは無双できますが、海外選手と競るとからっきしだめみたいなことおおいですよね。これは空中戦に関する駆け引きの伝聞、蓄積、文化、伝承が少ないからです。ここをもっと高めていかないと、(フィジカルエリート+ヘディングの駆け引きの達人)という世界レベルのヘディングモンスターは日本からは生まれないでしょう。だからこそ、小学生年代の指導者は重要なのです。ザックもA代表の高さ問題には頭を悩ませたと聞いていますしね。
全体的にバタバタした展開が多かったですね。GKもいいキック持ってるチームが多かったし、奪ったら下げて蹴っちゃう戦術がこの年代では主流なのかな?まぁ全少はトーナメント短期決戦で結果が求められるのでしょうがないですけどね。欲を言えば、足元足元でパスをつなぎながら正対と表裏のインサイドキック、懐のドリブル、いなすトラップを駆使して崩していくチームがあれば面白くなると思います。あとスキップスルーパスで裏取りとか。攻守にファイトしてるし競争力が高いから簡単なサッカーになってしまうことはよくわかります。でも、本当にワールドカップ本番の舞台で日本がゲームの主導権を握る戦い方を目指すなら、より高い次元のサッカー観を植え付けてもいいのかな、それがわかるレベルに子どもたちは育ってきているのかな、そんなふうに思いました。
あと、動画編集の際にJ下部組織より街クラブに肩入れして編集してあることはご承知おきください。それだけ良い指導者が各地に増えてきているということで、嬉しい限りです。
以上2014全少のまとめでした。
高校生相手にヘディングの改善を指導した経験があります。
現状、最高到達点でヘディングできている選手は少ないです。一方、できている選手は空中で止まると表現されることが多いです。
特にDFは落下点に入った時点で負けだと思います。
助走分を残すこと。
相手の体を利用して、滞空時間を稼ぐこと。(これは馬跳びで改善)
感覚としては先に飛んで、相手に押し上げてもらう。(DFの場合)
といったところでしょうか。
このテーマとは少し違いますが。
空中戦の駆け引きも、きちんと説明できる指導者の不足、また説明している教則本のようなものも皆無です。プロレベルの身体能力だと、ただ飛ぶだけでユース年代で無双できるので、フィジカルお化け+空中戦の駆け引きの達人=国際レベルのヘディングモンスターが生まれにくいのが日本の育成環境ではないでしょうか?
社会人チームでもヘディング強い人が2人欠けるだけで途端にセットプレーが不安になります。
まずは170代前半の選手のなかからヘディングを武器にした選手を育てたいですね。それにはヘディングのセオリーをまとめて上達法を皆さんと共有するのが一番だと思います。
僕が知っているのは最高到達点でヘディングできるようになる練習方法だけです。しかしこれでも自分より高い選手には勝ち目がないので、背中押しでブロックアウトしてトラップする方法を最近学びました。背中押しを覚えるとこればっかになってダメですね。セットプレーでは使えないし。
ちゃんとヘディングで競れる方法を動画付きで発信してくれませんか?
上記の方法はイメージは出来ますが、実際やれと言われるとなんかできそうにない感じがしてしまいます。そもそも、そんなに飛べないよな〜とか思っちゃうんですが、そのへんどうでしょう?
silkyskillさんとは、対戦する形での解説になりそうです(笑)
私はボランチで、現役でバリバリやってた頃(高校、大学)は、ゴールキックを弾き返すのヘディングが主でした。身長は160cm。でも引き分けはあっても、あまり負けた記憶はありません。もちろん、真上に上がってしまったボールは勝ち目はないです。
まず、背中押しでブロックする相手には、私の強みである助走が取れません。これでは負けます。なので、背中に触りません。しかし、それでは落下点に入れないので、相手の真後ろからではなく、斜め後ろからの助走に切り替えます。
そこからブロックする相手には、かなり早いタイミングで飛んで上から被せます。ボールが頭に当たればプレーが流れるか、相手のファウルになることが多いです。
相手も飛びたいのですが、そのタイミングではすでに私の体が肩くらいに乗っていると思います。
審判からすると、潜り込みと判断する人が多いです。
背中ブロックをしない相手には、助走をつけてジャンプして弾き返すだけですが、自分より20cm高い相手に勝つためには、空中で
1.自分の前腕を「アイーン」の形で相手の首の後ろの肩に乗せること
2.自分の片膝を内側に折り、相手の腰(お尻の上)にレガースを当てて、ヘディングの瞬 間に、自分の体を蹴り上げる。
これも先に飛んでいる所に、相手が下から来るので、1と2が引っ掛かって押し上げて貰う感覚かもしれません。
何かヒントが無いか、動画探してみます。
ありました。タイミングと、足を見てください。
あと、ジャンプ力の部分は「腕」だと思いますし、踏切りの「逆足」です。
それは、バレーボールと走り高跳びにヒントがあると考えています。
すごいです。
この気づきと学びの時間をくださってありがとうございます。
以前対戦した大学生にも160台でやたらヘディング強い人いました。メンタルかーと思っていましたが、立派なテクニックですね。メンタル、フィジカル、戦術(駆け引き)、テクニック、どれも高レベルじゃないと実現できないヘディングプレー。サッカーは奥が深いです。
なんとなく出来ていることも分析することによって、さらに高められますね。
また、こちらこそ勉強させていただきます。
私は今、少年サッカーを指導していますが、攻撃の部分でものすごく違和感を覚えていまして、これは日本の問題だと感じていました。
上手い選手もボールを取られないこと、華麗な身のこなしで評価されてしまいますし、チームもポゼッションが評価されます。
評価するのは悪くないし、強くなるためには通るべき道ですが、そこから先こそ難しいのにその時点でOKとなっている日本に危機感を覚えています。
やり直す。バックパス。サイドチェンジ・・・。いや、そこ勝負だろ!ってことがJでも多すぎます。すべて相場が決まってるプレーなんです。全然激しく取りに行かない。
先日フットサル大会に出ましたが、とても上手なチームがありました。しかし、そんなに上手でもないブラジル人チームにメチャクチャ手こずっていました。球際が激しいからです。
ボクシングで言えば、構える前に打ち込んでくる相手です。
それを見て、現在の日本の置かれている立場を見た気がしました。
ともに頑張りましょう(笑)
ディフェンスの激しさは、今取り組まないといけない、直近で最重要の課題だと思っています。普通の日本人の感覚だと「それは届かないだろ、それは取れないだろ」っていう距離感、角度から体を目一杯使って奪う技術。これは確実に存在するし、最近チームの大学生に教えてもらいました。
http://youtu.be/ljcBBtLRrls?t=33s
要は脚で取りに行くんですが、その前に脛とか腰とかを相手に当てて、相手の脚の動きを制限してからボールを刈り取る技術なんです。相手をどかしてからボールに行くみたいな。接触を伴うため日本人の感覚だと”激しい”プレーと言われます。
”激しい”や”高い”というコトバで片付けられてしまうサッカーの醍醐味をきちんと取り出して技術として見せてあげることが、このブログの役割かなと思います。守備技術編は4月以降のお届けになりますが、申し訳ないですが笑。
これからもよろしくお願いします。
まさに守備もそこの技術を抽出したくて、友人とも話していました。
その友人のプレーがこの動画です。
懐の理解もこのビデオでは分かりにくいですが出来ています。ディフェンスと攻撃への切り替えも言うことなし。
まぁ、選手レベルでは大したこと無くても、ツボを抑えてサッカーすれば、プロとしてできるということです。
守備の話も楽しみにしています。
http://youtu.be/rwP97ZE5JdI